リリザの町を出たぼくたちはローラの門に向かった。
今度はふたりだから通してもらえるはず。
もうすぐユキに会えるんだ!
ん?カイがおじいさんとお話してる。
早く行こうよ、ユキ待ってるよ。
え?「ローレシアの南にあるほこらに行こう」って?
やだよ、早くムーンブルク行こうよ。
え?なに?
「お年寄りの言うことは聞くもんだ」…あっそ。
しかたないな、僕ひとりじゃここ通してもらえないし
何があるかは知らないけど行ってみるか。
ついでにカイの剣の腕前も見てやれ。お手並み拝見。
…うわぁ、すごいや。
カイ、めちゃめちゃ強い。
スライムだってドラキーだって全然へっちゃらみたい。
すごいや、かっこいいな。
ぼくもあれくらい強かったらよかったのにな。
しばらく歩いてほこらに着いた。
ほこらにはさっきのおじいさんとそっくりなおじいさんがいた。
兄弟なんだってさ。
そのおじいさんが言うには、湖の洞窟に銀のカギがあるとか。
銀のカギかぁ、世界中を旅するんだったらカギって必要だよね。
取りに行こうか。
…素朴な疑問なんだけど、家に銀のカギの扉つけてる人って
どうやって開けてるのかなぁ。
カギ持ってるなら僕たちに貸してほしいよ。
それからずいぶん歩いて湖の洞窟に着いた。
洞窟なだけあって、外より敵が強いみたいだ。
さっきまで余裕見せてたカイも、ちょっと攻撃食らって擦り傷作ってる。
道具袋から薬草を出そうとしてたから、「ちょっと待って」と止めて
ホイミをかけてやった。
あまり効果は大きくないけど、擦り傷くらいなら治せる、そう言ったら
「…すごいな、魔法」そう言われた。
魔法も剣も人には向き不向きがあるらしい。
ぼくはどっちもそれなりに出来るけど、やっぱりカイには剣の腕ではかなわない。
カイも魔法使えないみたいだけど、ひとりで旅してるわけじゃないから
別にいいと思うんだ。
洞窟の中をほとんど廻ってみたけど、カギらしきものは見当たらなかった。
「…あっちに行ってみるぞ」
カイが道の奥の暗がりを指差した。
どうやら部屋みたいになってるようだ。中に入ったら小さな泉が涌いてて
その横にカギが落ちてた。

あった!銀のカギだ!
カイに渡そうとしたら、「お前が持ってろ」だってさ。
なくしそうで嫌なのかなぁ。
まあいいや、しまっとこ。