ハーゴンを倒すためにはロトの子孫の力を合わせる必要がある。
そう考えた俺の親父は、サマルトリアに行き、王子ナオと共に
ムーンブルクの王女ユキを探すように命じた。
まぁ常識で考えれば、王子だし城にいるだろ。
そう思ってサマルトリアに行ったはいいのだが…。

いねぇ。
城の者に聞くと「昨日まではいたんですけどねぇ」との答え。
王子がそう簡単にほいほいと外出していいものなのか?
(自分を棚に上げて言うことでもないが)
ナオには妹がいるとのことなので、妹の話も聞くことにした。

「おい」
「あー、もの売りに来た人でしょー?買わないからー。いーだ。」
…思いっきりしかめっ面をされた…。説明せねば。
「…兄貴はどこだ」
「しらない人になんかおしえないもーん。
お顔だってこわいし。あなたおにいちゃんのおともだち?」
「いや、ちがうと思う(とりあえずそんなに親しいわけでもないしな)」
「じゃあおしえなーい。
どこかでよりみちしてるかもなんておしえないもーん」
「そうか…邪魔したな」
…俺の顔は怖かったのか…ちょっとショックだ。
ナオはどこかで寄り道してるかも、と言うことは分かった。
王子なんだから城にいろよな、まったく。
さて、どうするかな。置いていくわけにも行かないし。
とりあえずこの国の習わしとして、旅に出る物は勇者の泉の水を浴びる必要がある。
そこにナオがいるかどうかは微妙だが、俺も水を浴びなければ。
そんなわけで、勇者の泉に着いた。

爺に水をかけてもらったついでに聞くと、ナオも少し前にここに来たらしい。
あーなんだかすれ違いだな。もう少し待ってろよまったく。
爺の話によると、ナオは俺を訪ねてローレシアの城に行ったらしい。
しかたない。ローレシアに戻るか。
「親父、ナオは来ていないか?」
「ふはははは、何を寝ぼけたことを。来ておらんぞ。
大体奴の親父が言うところの女好き王子が、男のお前を訪ねて
わざわざ来るわけが無いだろう。」
はぁ…それもそうだよな。
「とりあえずサマルトリアに戻ってみたらどうだ?」
面倒だが戻るか。ついでにあの妹の顔も見てこよう。かわいかったし。

「おにいちゃん?いないよ。」
「…そうか」
「おにいちゃんわたしを置いて旅に出ちゃったの。
わたしがまほうできないからって。ひどいでしょ?
だからもう知らないっ」
「悪い兄貴だな」
…魔法使えない奴を差別するなよナオ…泣けてくる。
「でも、お顔はこわくないよ」
「…それはよかったな」
やっぱり怖がられてるのか俺…自信なくすよな。
さてどうしたものか。
勇者の泉にいない、サマルトリアにもローレシアにもいない。
あのアホどこほっつき歩いてやがる。
あと行っていない所は…町か。
そう言えばサマルトリアとローレシアの間に町があったな。行ってみるか。
いたよ。町の宿屋でくつろいでやがる。人がこれほど探したのにこいつはっ。
とりあえず話しかけるか。殴りたいが。
「おい」
「あ、もしかしてあなたはローレシアのカイ王子では。いやーさがしましたよ」

…探したのはこっちだっ。
「ふたりで力を合わせてユキ姫を助けてハーゴンを倒しましょう!」
まあいいか。殴りたいがとりあえず見つかったし。
疲れたからひと休みするぞ。