ローラの門を抜けるとそこは広い平原だった。
いきなり明るいところに出たから目がチカチカする。
「ねぇねぇ、はやくいこうよー」
…どうしてこいつはこんなに能天気なんだ。
「ねぇカイ、ユキきれいになったかなぁ。
子供の頃会ったっきりだけど、かわいかったなぁ。
あーはやく会いたいー」
「…興味ないな」
「あ、そうなの?そっかぁ」
…心なしか安心したように見えるが…何なんだこいつは。
「ところでさぁ、カイ、ムーンブルクのお城って行ったことある?
ぼくないんだよね。
すっごいきれいなお城だって聞いたから、ぼく楽しみにしてたんだ。
魔物に襲われたって聞いたけど、王様強いらしいし大丈夫だよね?」
!
こいつ…ムーンブルク陥落の話、知らないのか?
それなら今までの能天気さも頷ける。
きっと、かわいい王女と遠足気分で旅をして、何となく悪者を倒して
かっこいーとか言われたい、なんて思ってるんだろうな。はぁ。
ショック受けるだろうな、壊滅した城の様子見たら。
王女が無事かどうかも分からないし。
さて、どうするかな。
「あ、町が見えてきたよ。行ってみようよ」
「…あぁ」
とりあえずまだ言わなくてもいいか。
不完全な情報でむやみに不安にさせることもない。
そして俺たちはムーンペタの町に入った。